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A06班: 冥王代生命学の創成公募班

冥王代の天体重爆撃による生命誕生場への電気化学的擾乱
(黒澤 耕介・千葉工業大学)

 冥王代の地球には現在の1000倍以上の頻度で天体衝突が起きていた。衝突天体総質量は地球海洋質量の20倍に及ぶ。天体衝突は時間的・空間的に局所的ではあるが、物質とエネルギーを同時に供給し、地球表層の平均場からずれた化学反応を駆動する。kKurosawa冥王代地球の“Habitable trinity=生命誕生場”にはこうした天体衝突による擾乱が加わったはずである。先行研究から示唆される冥王代地球表層は生命の誕生・維持には必ずしも好ましくない。大気やマントルは共に酸化的であり、自由エネルギー源を生み出す“電気化学的勾配”が存在しそうにないことがわかってきたからである。本研究では“衝突誘起電気化学勾配”が冥王代地球には発生する可能性が高いことを実証し、かつ時間の関数として、自由エネルギーの供給率を定量的に求めることを目的とする。天体衝突による不可逆加熱(エントロピー増加)は地球表層の主要構成要素である珪酸塩を分解し、強酸化的な酸素ガスと弱還元的な微粒子(SiO, MgO)を同時に生み出す。環境中に平衡からずれた不安定分子が大量に供給されることによって、電気化学勾配(化学ポテンシャルの大小差)が生まれる。平衡に向かう緩和反応によって勾配は均されていくが、その際に環境に自由エネルギーを供給する。冥王代地球においては“衝突誘起電気化学勾配”はHabitable trinityの主要な自由エネルギーの供給源となり得る。“衝突誘起電気化学勾配”は研究代表者らが中心となって発見した珪酸塩が衝撃に対して弱く、蒸発しやすいという新しい知見から生まれてきた概念である。右図に概念図を示す。