冥王代生命学の創成
ENGLISH
班員専用
冥王代生命学の創成 > 研究領域 > A06班: 冥王代生命学の創成公募班 > 生命の誕生に必要となるアミノ酸情報量の実験による検証 (赤沼 哲史・早稲田大学)

A06班: 冥王代生命学の創成公募班

生命の誕生に必要となるアミノ酸情報量の実験による検証
(赤沼 哲史・早稲田大学)

 tAkanumaタンパク質を構成する標準アミノ酸の種類数(現存生物では20種類)は生命が持つ情報量と密接に関わっており、生命の誕生を理解するうえで極めて重要な要素の一つである。現在の地球上に生息するほぼすべての生物は、20種の標準アミノ酸を指定する遺伝暗号システムを共有している。このことから、現在の遺伝暗号システムが全生物共通祖先コモノートの時代にはすでに確立していたと考えることができる。しかし、コモノート以前の生物が20種類未満のアミノ酸組成を持っていた可能性は排除できない(図1)。
 アミノ酸種類数の変化は「遺伝暗号の進化」と関連して考えることもできる。遺伝暗号の進化に関しては、「偶然凍結説」(Crick, JMB 1968)、「共進化説」(Wong, PNAS 1975)、「立体化学説」(Woese, 1967)等が提唱されてきた。これらの説は、内容は異なるが、共通して初期の遺伝暗号表は20種よりも少ないアミノ酸をコードしていた可能性を指摘している。さらに、非生物的に合成されやすいアミノ酸(Miller, Science 1953)、あるいはアミノ酸配列の種間比較から初期タンパク質のアミノ酸組成が推定、提唱されてきた(Trifonov, Gene 2000; Jordan et al. Nature 2005)。しかし、少数アミノ酸種だけから生命に必須の機能を発現するタンパク質が合成可能であるかという点での検証が欠けていた。本研究では、系統的かつタンパク質化学的に、生命活動を担うことのできる機能を持ったタンパク質の合成に必要な最少アミノ酸種類数を解明し、コドンの進化に関する諸仮説と対比することで、原始生命にあり得た少数アミノ酸組成の可能性を実験的に検証することを目的とする。