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A06班: 冥王代生命学の創成公募班

初期地球環境に相対的に多く存在したアミノ酸種を用いた原始的タンパク質の構築(赤沼 哲史・早稲田大学)

1_H29年度A06班ホームページ用画像-2_赤沼先生

 タンパク質の起源は、化学進化やRNAワールドと同様、生命の誕生を理解するうえで極めて重要な課題である。代謝系が誕生するよりも前、すなわち、生命誕生以前の原始地球上に存在したアミノ酸は、地球上で非生物的に合成されたか、あるいは、宇宙で生成されたアミノ酸が運ばれてきたはずである。本研究は、原始の地球環境に比較的多く存在したと推定されているアミノ酸種から、活性を保持した安定なタンパク質が合成可能か実験により検討し、地球上で最初に誕生した原始タンパク質のありうる姿を探ることを目的とする。

 世界最古(約38億年前)の復元に成功したタンパク質である祖先生物のヌクレオシド二リン酸キナーゼ(NDK)は高い耐熱性を有し、全生物共通祖先が超好熱菌であった最初の実験による証拠となった(Akanuma et al. PNAS 2013; Akanuma et al. Evolution 2015)。過去の研究では、復元したNDKから、系統的にアミノ酸種を減らすことで、活性を保持した安定なNDKの合成に必要な最少アミノ酸種類の解明を試み、13アミノ酸種だけから構成されたアミノ酸組成単純化型NDKが、天然酵素の約1%の大きさの活性を持ち、70℃を超える温度でも安定であることを明らかにした。また、このアミノ酸組成単純化型NDKを構成する13種のアミノ酸のうちの8アミノ酸種は、非生物的に合成されやすいか、または、隕石中から見つかっている、原始地球環境に相対的に多く存在したと予想されるアミノ酸と一致した。

 本研究では、原始的なタンパク質が、初期の地球環境に多く存在したと推定されている8アミノ酸を主成分として合成できるか検証する。8アミノ酸種では不十分な場合は、あと何種類のどのアミノ酸が必要であるかを明らかにする。