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A06班: 冥王代生命学の創成公募班

原始生命におけるエネルギー通貨産生システムの再現
(千葉 洋子・海洋研究開発機構)

 現存生物は、アデノシン三リン酸(ATP)に代表される高エネルギーリン酸化合物をエネルギー通貨として使用している。また、ATPは現在の遺伝システムの根幹をなすDNA、RNAの合成にも必要である。したがって、生命が誕生するためには、高エネルギーリン酸化合物を安定的に供給する原始代謝システムの存在が必須であったと考えられる。原始の高エネルギーリン酸化合物の供給方法としては、細胞外から取込まれたチオエステル化合物を用いた基質レベルのリン酸化、すなわち地熱由来のエネルギーを生物のエネルギー通貨に転換する反応が想定されている。しかし、前~原始生命体において、何が本反応を触媒していたのかは不明である。そこで本研究では、冥王代に誕生した原始代謝システムにおいては、現在の遺伝システムなしに生成しうる短いペプチド群が原始的な酵素として機能し、チオエステル化合物から高エネルギーリン酸化合物を生成する反応を触媒していた、という仮説を立てた。そして、実際に短いペプチド群が本反応を触媒できるか実験的に検証することを目的とする。